ティルト・ワールドTRPG

遥かなる異世界「ファイブリア」を舞台に、がっくりと傾いてしまった大地を元に戻すべく冒険するTRPGです。GURPS第4版対応。

ワールドセクション

01.ファイブリアとは

物語の舞台となる「ファイブリア」は、どことも知れぬ宇宙に浮かぶお椀型の世界です。地表は平らで、お椀の端からは海水があふれるように流れ出ています。
ファイブリアが「宇宙海面」へと落ちていかないように、下からは創造神が支え、また「宇宙の天井」から伸びたいくつかの紐によって吊るされているのですが、世界の住人たちは(ごく一部を除き)この事実を知りません。
「ティルト・ワールド」の主な舞台となる地上世界の他、巨大な地下空洞「クリュオ」、有象無象の魔族が住まう「アビス」があります。

名前からもわかる通り、国産ファンタジーTRPGの金字塔「ソードワールド」の舞台となる「フォーセリア」という世界が下敷きになっており、たびたびパロディと考えられる固有名詞が登場します。当サイトの主旨からパロディ元の考察は深くは行いませんが、もしご存じの情報がありましたらメールフォームからお知らせいただければ幸いです。

天地創造、幸運と不幸

最初に虚空と宇宙海面が存在し、そこに数々の創造神が現れました。
創造神たちは各々が理想とする世界を作り出しましたが、その最中にひとつの法則を見出します。どこかで幸運な出来事があれば、別のどこかで不幸が起きてバランスがとれるようになるという、宇宙を支配する根本原則です。
創造神を含めたすべての存在は、この「幸運と不幸の天秤」に支配されています。

幸運と不幸に振り回された人間は成長が著しく、将来的に創造神の後継者として世界を支える役を肩代わりできる者が生まれるのではないかと(密かに)期待されています。
そういった事情から、当サイトにおけるPCは、すべからく幸運と不幸に翻弄される運命を与えられた「幸運と不幸の戦士」としての運命が定められています。

02.神々

ファイブリアにおける「神」とは、一般的に創造神のことではなく、創造神が世界を作る際に生み出した高位の存在のことを指します(創造神のことは知られていません)。
人々は天地創造時の神の役割から、それぞれの性質を見出し、信仰や教義を確立していきます。天地創造後、地上の生き物に主導権が委ねられた現在は神々による地上への直接的な関与は禁じられていますが、信者を介して小規模な奇跡を起こすことができ、実在するものとして人々から崇め奉られています。

■フォレス
天地創造時には現場監督を担当していた神。至高神。正義と秩序の神。

■ライリー
力仕事を担当していた神。戦神。

■ラーファ
大地の管理と神々の福利厚生を担当していた女神。大地母神。慈愛の女神。

■クーダ
人事と設計を担当していた神。知識神。

■コヒ=ア
幸運と不運のエネルギーを管理する出納係の神。幸運神。商売の神。

■ダラディス
宇宙海面から世界創造に必要な力を汲み出す係の神。混沌と変革の神。

■その他の神
原作のシリーズを通じて、ボラケ(鍛冶の神)、メルメル(その妻)、カードディス(ダラディスの妻。収集の神)、テ・ヨーコ(犬の神)、フェデス(月の神)、九千九百九十九億の名を持つ狂気の神、膿の神カグリーフなどの名前が確認できる。

03.世界観

文明レベル

ファイブリアは剣と魔法のファンタジー世界です。文明レベル(Tech Level) は中世ヨーロッパの時代に近い「3」とします。
飲料水は貴重で、井戸を掘って確保します。皮袋に詰めた葡萄酒が水代わりということもめずらしくありません。記録は羊皮紙に羽ペンが中心です。本もありますが木版印刷のため非常に高価となり、一般には普及していません。

医療は薬草と外診が中心です。食文化はパンや芋が主食で、煮込み料理やスープが一般的です。肉も野菜も採れますが、生で食べる文化はあまりありません。
「ガープス・コクーン」の口絵では埋立地を思わせる人工っぽい大陸や、南方の大陸も確認できますので、原作には登場しませんが、一般的なマンガ的ファンタジー表現の一環として一部の地域を文明レベル4とし、眼鏡やマスケット銃、独自の魔導機械や、オリエンタルな衣食住の文化などを登場させても面白いかも知れません。

エリクサや魔法で強化された武具、呪文を使う際の疲労(精神点)を肩代わりしてくれるパワーストーンなども登場します。装備品や道具については「データセクション」を参照してください。

魔法について

ファイブリアでは、大気中のマナに働きかけることで魔法を操ることができます。
マナの密度は「標準」です。働きかける方法は魔法の系統によって異なります。
魔法の系統は大きく分けて次の3種類に分類されます。

■真音魔術
あらゆるものの本質である「真音」を操り、物や事象に対して命令することで術者に従わせる魔法です。古代帝国カスフォールの時代に隆盛を極め、多くの魔法道具を生み出しました。お前は〇〇だ、そうであるに違いない、私が言うのだから!という理論の、とんでもなく我儘な魔法。また、歌や演奏で見る者に様々な影響をもたらす「呪曲」も、この真音を用いたものです。

■精霊魔法
光と闇、地水火風、人の精神などの現象を司る「精霊」に働きかけることで、術者の望む効果を得る魔法です。精霊語と呼ばれる極限まで圧縮した高速言語で精霊をおだてあげ、精霊の気分を良くして力を貸してもらうという、とんでもなく卑屈な魔法。

■神聖魔法
神聖語によって信仰する神へと祈りを捧げて、奇跡を起こしてもらうことで望む結果を得る魔法です。神聖語の呪文は実はその内容は神に対し、この程度の奇跡も起こせないと信者が減って沽券にかかわりますよ、という脅迫で成り立っているという、地味にエグい魔法。

04.地理

ワールドマップ

原作には詳しい地図およびワールドガイドがありません。

地図については「ガープス・コクーン」の巻頭にカラーの世界地図が、「ティルト・ワールド3巻」「ザ・ラスト・オブ・ファイブリア」の口絵にそれぞれ白黒の世界地図のイラストがありますので、これらを参考にしていきます。

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ティルト・ワールド3巻の口絵

右に位置する大きな大陸がアレクファースト大陸です。
一般的な和製ファンタジー観を持ち、情報も多いこのアレクファースト大陸をメインの舞台とするのがよいと思います。
その他の地域については情報がほとんどなく、最終巻で「祝福された島・ミティス」が登場するくらいです。個人的には中央の人工的な形の大陸が気になります。コンピュータRPGに対するオマージュなのかなと推察していますが、真偽は不明です。
各自好きなように解釈して、自分のキャンペーンに登場させれば良いのかなと思います。そこだけ科学が発展したスチームパンク的な世界にしちゃうとか。楽しそうですね。

また、主人公一行が「移送の扉」に巻き込まれ古代魔法帝国にタイムスリップしている関係で、この時代の情報が充実しています。古代魔法時代を舞台にしたセッションも面白いかも知れません。
以下に小説各巻、ライブノベルに登場する地名をまとめてみました。

アレクファースト大陸

ファイブリア世界における最大の大陸です。
小説1巻P5にラオンの周辺図あり。貴重な資料ですが、この地図にしか登場しない設定が多い反面、作中に登場する地名が記載されていないなど完全なものではありません。

都市・街・村

■“魔法都市”ラオン
「賢人の街」の異名を持つ、かなり大きな城下町。古代魔法帝国の首都だった街の遺跡を利用して造られた。中心地には堀に囲まれた王城・エイトスクエア城がある。
各神殿、図書館、歓楽街、東の郊外に森、西の小高い丘に新興住宅地を擁する。商人ファランシスや霊媒師フォルネリスの店もここにある。人口約30万人。
小説版の舞台となる新王国歴520年時点での国王は「ウリアルイタードⅣ世」。
※ライブノベル上巻P273、小説2巻P5にラオン市街地図あり

■アイデ
街道沿い、ラオン近郊にある宿場街。ラオンまでは徒歩で一日の距離。
ライブノベル版では「ラッテン」。

■ラパク
街道沿い、ラオン近郊の小さな村。黒鹿亭という宿屋がある。ラオンまでは徒歩で一日の距離。ライブノベル版では「トルク」。

■コレコ
傾き騒動で港町になってしまった、元は内陸の街。

■アレア
傾き騒動で内陸の街になってしまった、元港町。クジラ竜の解体施設がある。
ライブノベル版にのみ登場。

■ザノーワ
巨人の尾根の登山口にあるキャンプ村。

■イーゴール
険しい高山の山頂にある街。古代魔法帝国時代の街で、現在は滅びて遺跡と化している。ミルカミ家の屋敷がある。ライブノベル版では「レッドトラクタ」。
小説版では明言されていないが、巨人の尾根の一角にあると思われる。

■ペダ
ラオン郊外の街。近くに高名な遺跡都市がある。ティルトワールド1巻、口絵の地図に記載あり。位置関係的にも元ネタは「パダ」だと思われる。
コクーンワールドのラストで、地上に戻ったソアラたちが放り出された場所がペダ近郊。「イシュカたちとは一週間前にファードリで別れただろ」というセリフから、ファードリもラオン近郊のエリアに位置する街と推察される。

■ファードリ
街道沿いの街。警備隊がある。コクーンワールド一巻の冒頭で登場。

■メゾルーナ
ラオン近郊の街。過去に連続幼児誘拐事件があった。
コクーンワールド三巻に名前のみ登場。

■フォンダリア
ラオンと比肩して語られる程の規模を持つ、人口10万人を越える大都市。
元ネタ(ファンドリア)の位置関係的には、ラオン北西に位置すると思われる。
コクーンワールド三巻に名前のみ登場。

■セレネトック
ラオン近郊の街。コクーンワールド三巻に名前のみ登場。

■カネダイン
公王が治める大きな街。新装版コクーン・ワールドに収録の短編に登場。
元ネタ(ベルダイン)の位置関係的には、ラオンから遠く西に位置すると思われる。

■マムリラース
カコアの実の原産地として名前のみ登場。

■リホームラン
カネダインの隣街。新装版コクーン・ワールドに収録の短編に登場。

■ルレミア
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■転倒都市バーン
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■神聖都市バノス
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

山・河川等

■巨人の尾根
ラオンの南、およそ三週間ほど歩いた場所にある、3つの山からなる尾根。麓にはブラックプリンセス高原が広がる。

■エロザムル山脈
山脈に吹く風よりも冷たい、という比喩で名前のみ登場。
元ネタ(グロザムル)の位置関係的には、ラオン南東に位置すると思われる。

■カーントバーン山
ティルトワールド三巻で、グーグル叔父との大きさの比較で名前のみ登場。ラオンの城より大きい。

■善意の砂漠
ラオンの北西に位置する砂漠。

■狂える悪鬼の森
善意の砂漠の北に位置する森。かつての「混沌の荒れ野」。

■紅葉山脈

ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■アルザー河
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■マウリー河
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■“大草原”湾
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■沈んだ都市
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■ウーラ岬
ティルト・ワールド1巻の口絵、ラオン周辺図に名前のみ登場。

■〈ハジケ草〉群島
アレクファースト大陸東南部に位置する群島。
本島は火山島であり、上半分は噴火で吹き飛んだカルデラとなっている。
名前の由来はハジケ草の形に似ていることから。
古代魔法帝国の遺跡を利用し、種の島星々開発中心がある。

その他の地域

ほとんどが地名のみの登場。ミティスのみ、「ザ・ラスト・オブ・ファイブリア」に多少の描写がある。

■アマゾニア
南にある女系の国。大祖母神を信仰する。

■チリリア聖王国
世界が原初の神々の唄から生まれたと考える創世説を唱える国。
僧侶になる一部の者以外は7歳になると独唱試験が行われ、合格すると清く正しい霊として神の御許に送られる。不合格者の音痴は不浄の民として物質世界に留められる。
そのため、現在は国民の99%以上が不浄の民とされている。

■アルギオン
定常落下宇宙論を唱える、賢者ホイルが住まう島国。

■ミティス
“祝福された島”。大地の恵み豊かな常春の島。ファイブリアの端に属し、島の一部が宇宙に突き出している危険な土地でもあるが、それを意に介さないほどおおらかな気質の島民が大半。

カスフォール帝国(古代魔法帝国)

高度な魔法文明を持ちながら、何故か滅亡してしまった大帝国。
帝国暦720年頃に滅亡し、その後到来した時代は剣や鎧をぶつけ合うことから「固い時代(ハード・タイムズ)」と呼ばれた。

■ファンデ
古代魔法帝国の村。賢者バリー・ケルダンの命により秘密裏に百科事典の編纂を行う。未来では巨人の尾根のあたりに位置する。最寄りの大都市(詳細情報なし)まで片道4日ほど、帝国までは徒歩2週間ほどの場所に位置する。

■ニャラーラ
魔法王フェルデンが統治する、古代魔法帝国時代の首都。かなり広く、端から端まで歩いて3日かかると言われるほど。帝国では民の額に「クオレ」と呼ばれる宝石のような魔法装置を埋め込み、体内の魔力を「魔法力発生所」へ送ることで膨大な魔力を操り、魔法の付与された道具を作り出していた。これにより文明がかなり高度になっており、精霊通話や携帯遠話、魔法の絨毯や魔法の街灯、自動ドアなどが普及している。
通貨単位は「精神点」。

■トーアル
トーアル魔法大学のある地方の街。

■パリニア
ティルト・ワールド3巻に名前のみ登場。

■ケセレス城
城主が帝国に反乱を起こしたことで知られる。

05.通貨・単位・暦

■通貨
アレクファースト大陸における通貨単位は「パチール」。ライブノベルでは換算レートが異なるようですが、計算を平易にするため当サイトでは1パチール=1ドルとして扱います。
パチール銀貨の他、「パクール銅貨」という貨幣も存在。当サイトでは1パクール=0.1ドルとして扱います。

■単位
クリュオの単位は雰囲気にマッチしないので不採用とします。
ザ・ラスト・オブ・ファイブリアでアースドラゴンのサイズが「10メルー」と表記されていたので、長さの単位はルナル世界と同様「メルー」であると考えられますが、全編通してその一箇所しか出てこないため、単なる間違いの可能性もあり。
日本語版ガープスに準拠しメートル・グラムで表しても良いかと思います。

■暦
新王国歴。一ヶ月を30日、一年を12ヶ月とする暦です。
尚、帝国暦では1年を13ヶ月として数えていた模様。計算すると一ヶ月は27日(28日の月月もある)ということになります。

06.傾きについて

冒険の舞台となるファイブリアは現在、大地ががっくりと傾いてしまっている状態です。
なぜ傾いてしまったかは原作小説を読んでもらうとして、ここではこの「傾き」の影響がどのようなものだったかを確認しておきたいと思います。

ライブノベル版でGMの「5度ほど傾いた」という発言が確認できますので、「傾斜は5度」とします。「5度」とだけ聞くと大したことがないように思えますが、底辺と傾斜角から斜辺と高さを計算すると、5度の傾きでは底辺1メートルあたり8.7センチも傾いていることになります。
日本の家屋の基準では、3度の傾きで「全壊」判定です。5度も傾こうものなら、大半の建物は実際に倒壊し、仮に倒壊を免れてもそのままでは住めたものではないでしょう。
ましてや大地全体が傾いた状態ですので、この変化が地形に及ぼした影響は計り知れないはずです。小説でも川の流れが変わって陸地が沈んだり、逆に内陸の街が沿岸の街に変わってしまった経緯が書かれていますが、はっきりいってとんでもない大災害です。
小説の舞台が傾き騒動からどの程度時間が経ってからの時代か明確にわかりませんが、少なくとも傾いた直後は全世界的に地獄のような状態だったと考えられます。

傾き騒動後の冒険者は、この傾きを正すこと(あるいは、その手掛かりのひとつを見つけること)を、漠然とでも目的にしているという場合が多いでしょう。
もちろん、傾いた理由やその修正方法については原作通りである必要はありません。
GMが自由に設定して構わないでしょう。

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